移動タンク貯蔵所からの荷卸しに係る事故防止の徹底について

総務省消防庁から、令和2年10月19日、岩手県内の給油取扱所において、ガソリンが混入した軽油を顧客に販売した事案が発生したとの連絡がありました。

事故原因等の詳細は、管轄する消防本部において調査中ですが、給油取扱所における移動タンク貯蔵所からの荷卸し作業については、火災や流出事故の発生を防止するため、給油取扱所の危険物取扱者及び移動タンク貯蔵所の危険物取扱者が相互に立会い、適切な手順に従って作業を行うことが必要です。

以下の内容について、あらためて従業員等に周知してください。

  1. 1. 単独荷卸し※を行う場合を除き、給油取扱所における移動タンク貯蔵所からの荷卸し作業に際しては、給油取扱所の危険物取扱者及び移動タンク貯蔵所の危険物取扱者の双方が立ち会うことを徹底すること。
    1. ※ 単独荷卸しとは「給油取扱所等における単独荷卸しに係る運用について」(平成17年消防危第245号)に基づき、給油取扱所の従業員の立会いなしに移動タンク貯蔵所の危険物取扱者が単独で荷卸しを行うことをいう。
  2. 2. 危険物運搬車両に関する項目
    1. ア 給油取扱所の危険物取扱者及び移動タンク貯蔵所の危険物取扱者は、荷卸し作業に際して、危険物の品名、受入タンクの注入口、受入量等について相互に確認すること。
    2. イ 移動タンク貯蔵所の危険物取扱者は、移動タンク貯蔵所の各タンク室に積載している危険物の品名、数量等を再確認するとともに、適切な手順に従って荷卸し作業を行うこと。
    3. ウ 給油取扱所の危険物取扱者は、荷卸し終了時には、地下タンクの危険物の量を確認すること等により、適切に荷卸しが実施されたことを確認すること。
  3. 3. 移動タンク貯蔵所に設けられた弁の開閉状況の十分な確認を徹底すること。
  4. 4. 軽油や灯油のガソリン混入を確認した場合、速やかな作業中止、消防機関への報告及び販売した危険物の回収を徹底すること。

〈参考〉岩手県で発生した事案の概要

  1. 1. 混入発生の経過
    移動タンク貯蔵所の運転手(危険物取扱者)が当該給油取扱所に軽油を荷卸しする際、移動タンク貯蔵所の弁(荷卸し配管に設置されている中間バルブ)の閉鎖が不完全であったため、軽油にガソリンが混入したもの。
    移動タンク貯蔵所の運転手は、軽油にガソリンが混入したことを認識していたが、給油取扱所にこの事実を報告せず、帰社した。
    また、給油取扱所の従業員(危険物取扱者)は、当該荷卸し作業において必要な立会いを行っていなかった。
  2. 2. 混入発生後の経過
    給油取扱所では、ガソリンの混入した軽油を10月19日から10月26日までの間に238件(15,465L)販売したが、危険物保安監督者は、専用タンクの在庫量と荷受量が合わないことに気づき、専用タンク内の在庫の成分を分析したところ、10月27日、軽油にガソリンが混入していることが判明。同日、消防機関へ軽油へのガソリンの混入を報告した。また、10月29日、石油元売会社から混入事案の発生と対応について公表されている。